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ちょっと待って!その症状、ホントに老化のせい?

皆さま、こんにちわ。中里ミル動物病院 院長の渡邉です。

今月のコラムの内容は「老齢期の猫の健康管理」についてお話させていただこうかと思います。

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
近年、人の世界では高齢化社会と言われていますが、猫の世界でも飼育環境の変化により高齢化が進んでいます。実際に当院でも10歳以上の高齢猫を診察することが多くなっています

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
猫は11歳になると、人間でいう60歳になります。高齢期に入ると、身体的・行動的な様々な変 化が見られるようになり、排泄の問題、鳴き声の問題、飲水量や食欲の変化などがよく相談されます。そこで、大事なのは

その症状は果たして老化なのか、それとも病気なのか?ということです。

老化ならばある程度は受け入れることが必要ですが、病気によるものなら何とか改善してあげることが出来るかもしれない。

今回は皆さんに高齢猫の代表的な症状を覚えていただき、健康管理に役立てて頂ければと思います。

 

1:水をよく飲む。

おしっこをよくするようになった。

これは特に多くみられる症状です。代表的なものは腎臓病や糖尿病です。

腎臓病については15歳以上の猫の約80%が程度の差はあるにせよ、腎機能低下が認められるといわれています。糖尿病は上記症状の他、食欲旺盛のわりに痩せてきた、といったことに注意が必要で す。高齢の猫でこのような症状が見られたら一度診察を受けるようにしましょう。

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
 

2:活動性の低下が見受けられる。

・何となく元気がない。

・最近高い所へ行かなくなった。

・トイレに行けなくなった。

等々・・・。

ここ最近、猫の活動性が低下した。ということはありませんか?

「うちの子はもう年だから仕方ない。」なんて思っていませんか?

実はそれは、骨関節炎(DJD)による痛みのせいかもしれません

10歳以上の猫の実に80% に関節炎があると言われています。厄介なことにレントゲン検査でも分からない場合も多いため、意外と見逃されているケースがあります。そのため、このような状況が続く場合は診断的に消炎鎮痛剤や関節系のサプリメントを与えてみることが検討されます。

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
 

3:目が見えないようだ。

高齢の猫ちゃんの目を見てください。

・明るい所でも瞳が大きい(散瞳)。

・周りをキョロキョロ見渡すことが多い。

このような場合は視力低下が疑われます。

網膜に異常が見られることが多いですが、 原因として腎機能低下や甲状腺機能亢進症、高血圧などが関与していることがあります。一度、血圧検査や血液検査を受けるようにしましょう。

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
 

4:過剰な鳴き声、徘徊がみられる。

これは認知症の可能性があります。猫も15歳以上になると認知症を発症することが言われています。

・異常に大きな声で鳴く。

・うろうろ徘徊する。

等が主な症状です。

認知症には抗不安薬やサプリメントなどの薬物療法がありますが、正直なかなか治療は難しいと言わざるを得ません。これに関してはある意味、老化と理解してあげるしかないのかもしれません。

ミル動物病院9月コラム_老齢期の猫の健康管理について
 

以上、高齢猫にみられる代表的な症状とその原因について挙げてみました。

もちろん、全てがこれらに当てはまる訳ではなくて、老化によるものもあります。老化や病気に関わらず、高齢期はしっかりと状態を見極め、本人にとって穏やかに過ごせるようにしてあげることが大切です。皆さんの猫ちゃんも何か変化がありましたら、一度、獣医師に相談してみること をお勧めいたします。



月のコラムは以上です。皆様と、猫ちゃんにとって、幸せな日々がお送りできますように。

中里ミル動物病院:獣医師 渡邉



ミル動物病院では健康診断『ワンニャンドック』を実施ししております。当院でも健康診断プランもご用意していますので、体調で気になる事がある方は遠慮なく当院受付もしくは獣医師にご相談ください。

ご不明な点、ご相談は当院までご連絡ください。




 

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